子連れ狸が男体山を行く。
こんばんは。
お盆休みの真っ最中ですが、あまり芳しくないお天気が続いていますね。台風の襲来で全国的に大荒れだった先週末に引き続き、今週末も雨模様のところが多そうです。せっかくの夏山シーズンなのに、大変残念ですが・・・こればっかりはどうしようもない。秋口、涼しくなってからの好天気を期待するとして、今のところは鋭気を養っておくことにしましょう。
私も秋口辺りから山歩きついでに野鳥の写真や星の写真でも始めてみようかと思って、機材の整備を始めました。まあ、殆んどの機材は手持ちのもので済ますつもりですが、車での移動が前提だった三脚なんかは見直しが必要ですね。とりあえず、全体の重量を減らすために、軽量級の雲台なんかを新規に調達するつもりです。こういったものは、ザックにくくりつけて岩場なんかを移動しているうちにぶつけまくって傷だらけになります。中古で出物があれば一番いいんですが・・・まだ時間がありますから、中古カメラ屋さんなんかを久しぶりに回ってみることにしましょう。
さて。前々回・前回記事の蓼科山・霧ヶ峰・美ヶ原の旅から1週間後です。天気が比較的良さそうでしたので、8月3日、日曜日に山行の予定を入れてありました。問題は行き先です。私の行き先で毎度おなじみなのは奥多摩ですが、こう暑い日が続くと流石に奥多摩の標高1,000m台の山々を歩く気にはなりません。少なくとも2,000mは超えていないと・・・と考えるのですが、そうなると奥秩父方面まで足を延ばす必要があります。帰りの中央道の小仏トンネルでの渋滞も鬱陶しいし、どうしたものか思案しているうちに思いついたのが奥日光です。
以前、当ブログからリンクさせていただいている悠さんのブログ記事で、「北関東へは一般道を走って行ってもたいして時間がかからない」という話を目にしたことがありました。地図で確認してみると、なるほど日光市あたりまでは我が家から筑波山へ行く距離の倍くらいのようです。早朝だと筑波山へは2時間くらいでいけますから、4時間もあれば日光まで行ける計算ですね。日光男体山は標高2,486m、登山口の中禅寺湖畔・二荒山神社中宮嗣からは標高差が1,200mで結構急登のようですが、なかなか面白そうです。早速、こちらを行き先に決定。前日土曜日に準備を始めました。
当日、日曜日は女房は仕事。子供は塾の夏期講習もないので、私の実家のほうへ遊びに行かせる心算だったのですが・・・ヘタレ息子が付いて来るわけないと思いながら、一応確認。
「男体山、登ってみるか?」
「うん!」
え?付いて来るのかよ?
「標高差1,200mの岩場の道だぞ。この間の蓼科の山頂までの道みたいなのが延々続くぞ。きついぞ暑いぞ怖いぞ。」
「大丈夫!」
まあ、いいか。どっちみち朝6時の開門と同時に登り始める心算でしたから、子供連れでゆっくり登っても時間にはかなりの余裕があります。最悪、途中で引き返す羽目になっても、それはそれでまた秋にでも一人でリベンジしに来ればいいし。
というわけで、8月3日・日曜日の午前1時半過ぎ、自宅を出発しました。子供はその時間までぐっすり寝ていましたが、寝惚け眼のところを女房が着替えさせ、車に乗せるとすぐにまた毛布にくるまって爆睡です。こりゃ煩くなくていいわ(笑)。
千葉市内の自宅を出発、途中終夜営業のGSでガソリンを満タンにしてから国道16号を北上。以前、筑波山に行った時と同じルートで柏市内から手賀沼の西を通って新大利根橋を渡り、茨城県に入ります。茨城県にはいるとすぐに国道294号に出ますから、ここを左折して北上。そのまま一直線に北関東を目指します。
しかしこの道、凄いですね。夜中だと全然信号にひっかかりません。ノンストップでどんどん北上します。あっという間に守谷市、水海道市、下妻市を過ぎ、筑西市から国道408号に入って宇都宮方面へ。途中、左折して鬼怒川を渡り、宇都宮に着いたのは午前4時ごろです。何と、千葉から2時間半くらいで着いてしまいました。
宇都宮市内からは国道119号に入り、一路日光市へ。日光東照宮の前で道が突き当たりになりますから、左折していろは坂方面へ進みます。夜明けの第二いろは坂を駆け上がり、中禅寺湖畔の二荒山神社中宮嗣の駐車場に着いたのは午前5時ごろでした。

早朝の駐車場から中禅寺湖方面。対岸の山々には若干ガスがかかっていますが、今のところはいい天気です。子供を起こし、途中のコンビニで調達してあったサンドイッチで朝食を取ります。子供はあまり寝起きがよくないので、登山開始の6時まで時間をかけて目を覚まさせます(笑)。

5時50分、駐車場を出発。左側、手前から2台目が我が家のポンコツ。この駐車場、左側ががら空きですが、左側は一見バス専用のように見えるので警戒して停める方がいないみたいです。実は、駐車場の奥のほうがロープで仕切ってあり、そちらに「観光バス専用」の表示があるので、手前は大丈夫のようです。実際、支度をしている間に二荒山神社の神職の方が車の前を通ったのですが、何も言われませんでした。

駐車場の奥の参拝入口。ここから二荒山神社中宮嗣の境内に入り、入山手続きを行う社務所に向かいます。

こちらが社務所の登山受付。基本的に男体山全体が二荒山神社のご神体となっており、登山が参拝そのものであるということで、「登拝」と呼びます。登拝料は大人500円、子供300円、の筈だったんですが・・・何と、7月31日から8月7日までは「男体山登拝講社大祭」期間となっており、登拝料は大人1,000円となっていました。子供は300円のままです。ううむ、運がいいんだか悪いんだか。あ、そんなことを言ったらバチがあたりそうですが(笑)。さらに、この期間はご来光が拝めるように登山開始が夜中の12時となっており、6時近くまで開門を待つ必要はなかったようです。

登拝受付を済ませると貰えるのがこちら。左側が大人用の3点セットの『登拝之証』、『御札』、そしてオレンジ色の袋に入った『エマージェンシーシート』。右が子供用の2点セットで『登拝之証』、『御札』です。

さあ、登山開始・・・の前にトイレはどこだ(笑)。駐車場から来ると境内に横から入ってくる形になるのでトイレがありませんでしたが、正面の山門手前、左のほうにトイレがあるようです。一度外へ出てトイレを済ませます。
あらためて・・・6時10分、登山開始です。

最初は参道らしく、石段がしばらく続きます。

石段の終点には鳥居があり、それを過ぎると山道になります。早朝の熊笹の山道を登って行きます。結構大勢の人が登っていますが、こちらは子供のペースが遅いので基本的にどんどん道を譲ります。

40分ほどで一旦山道が終わり、林道に出ました。ここが登山道の三合目になります。ここから四合目までは林道を歩きます。

いい天気ですね。まだ涼しいので、林道を歩いていても気持ちがいいです。

30分ほど林道を歩くと、ふたたび登山道の入り口があります。ここが四合目になります。

四合目の登山道入り口の前はちょっと展望が開けているので、そこから中禅寺湖の写真を一枚。まだ晴れていますが、ちょっと水蒸気が多く、遠くのほうはガスっぽいですね。あまり見晴らしはよくないようです。

四合目から五合目までは再び熊笹の山道ですが、火山らしく大きな石がゴロゴロしています。

チビは大分ヘタレているようです。まあ、予想したとおりですが。頂上まで辿り着けるか、かなり不安ですね~。相変わらず、後から来た人にどんどん追い越されていきます。

50分ほどかけてようやく五合目に到着。

五合目には簡単な避難小屋があります。九州のほうから来た団体さんが休憩中。福岡弁がそこいらじゅうを飛び交っています。

五合目を過ぎるとさらに傾斜が急になり、岩場みたいになってきます。

25分ほどで六合目を通過。やはり、等間隔で合目の標柱が置かれているわけではなさそうですね。

六合目を過ぎると、さらに岩場っぽい道になってきました。子供からすると段差が大きいので結構必死でよじ登っているようです。

岩場はまだまだ続きます。

この辺りまで来ると、下山してくる人が増えてきました。どうやら、夜中の12時に登り始めてご来光を見てきた人たちのようです。聞いてみると、ご来光が綺麗に見えたとか。あらかじめ知っていれば、こっちも夜中から登ったんですが。

木々の間から中禅寺湖が見えますが・・・うわ、ガスがかかり始めました。山頂へ着く頃はどうなっているんでしょうか。

さらに1時間ほどかけて、七合目に到着。ここにも避難小屋があります。
ここへ着く直前、すれ違った方から「お子さん、顔色悪いよ」との指摘が。たしかにそう言われてよく見るとあまり顔色がよくありません。ずっと見続けていると気がつきにくいものなんですね。一瞬高山病を疑いましたが、子供に聞いても頭痛・吐き気などはなく、呼吸も正常です。どっちかというと、シャリバテっぽい?とりあえず七合目で大休止し、20分ほど休みます。カロリーメイトとポカリスエットを子供に食べさせて様子見。ウィダーインゼリーあたりを持ってきたほうがよかったかな?

ゆっくりと登山を再開。さらに岩が大きくなってきたので、少々難儀しております。おい子ダヌキよ、ジーンズがずり落ちて半ケツになっておるぞ(笑)。

まだまだ岩場が続きます。子供がまだシャリバテっぽいので、このあたりの道の脇の平坦なところを見つけて再び大休止。昼ご飯用のジャムパンを食べさせます。あまりお腹が空いていない、というのをとにかく食べろ、と食べさせましたが・・・これが効果覿面。みるみるうちに元気を取り戻しました。やっぱり、炭水化物じゃなくて糖分を摂取したほうが手っ取り早く吸収されていいみたいですね。

なんだか、岩場に巨大な鎖が下がっています。でも、この鎖を使わないで左に迂回しろというペンキの指示が。どうやら、昔はこの鎖を使って岩をよじ登っていたようですね。

鎖場の上が八合目。

ここには、瀧尾神社があります。それと、画面には写ってはいませんが、神社の左手に避難小屋があります。

まだまだ岩場が続きます。上空は・・・晴れてきました!さて、頂上はどんな按配だか。

先程よりはガスが取れてきて、見晴らしもよくなってきました。ただ、基本的に雲が多く、水蒸気が一杯ですね~。

ついに岩場が終わって緩やかな山道に変わりました。そろそろ九合目のはずです。山頂まであと一息。

相変わらずジーンズがずり下がっていて半ケツ状態で歩いています。恥ずかしいなあ。もっとも、私もよく山ズボンがずり下がり気味で歩いていたりしますから、父親に似ただけなのかもしれませんが(笑)。

九合目を通過。


木々の様子が変わってきました。低くなってきましたね。もうすぐ、樹林帯を抜けるようです。

樹林帯を抜けました。山頂直下のザレ場に到達。

右手のほうは戦場ヶ原ですね。このあたりは学生時代から何度も歩いています。右手の山の陰から見えているのは湯ノ湖でしょうか。以前は戦場ヶ原から眺めるだけだった男体山に、今、こうやって登ってきているんですね。何となく感慨深いです。

中禅寺湖も奥のほうまで見渡せるようになりました。何となくダム湖っぽいですが、2万年前の男体山の噴火で噴出した大量の溶岩流が、深いV字谷を堰き止めてできた堰止湖ですから、天然のダムのようなものです。ちなみにこの中禅寺湖、最大水深163mの湖底の水温が低いため、一度沈んだ水死体が浮かび上がることがない・・・と言う話を昔聞いたことがあるんですが、本当なんでしょうか?

ひたすら地面が赤いですね。子ダヌキは石とかが大好きなものですから、初めて見る赤い溶岩に興味津々です。

来た方向を振り返ります。男体山の西側はそこそこ晴れているんですが、東側はガスに覆われて下のほうが見えません。

もうすぐ山頂です。

山頂の鳥居が見えてきました。結構人が一杯いますね。登拝祭期間中ですから無理もありませんが。

山頂に到着。こちらは山頂に立つ二荒山大神の神像です。休憩時間をトータルで1時間ちょっと含んでいますが、登山口からここまで何と5時間45分もかかってしまいました(笑)。

山頂からの風景。


こちらは男体山の北にある太郎山です。太郎山の左にある小さなピークが山王帽子山ですが、このさらに左側には、ここからは見えませんが涸沼という乾燥が進んだ湿原があります。そのあたりも何度か歩いたことがあります。

二荒山神社の奥宮。まずは無事登頂できたことのお礼をし、合わせて下山の無事を祈願します。

奥宮の右手には真の山頂、最高標高地点があります。てっぺんの岩の上にはステンレス製の巨大な刀が屹立しています。

一番高い岩の上に立って刀を撮影。なんだか逆向きに刺さったエクスカリバーといった趣です。BGMは当然、ワーグナーの「ジークフリートの葬送行進曲」(笑)。

エクスカリバー(笑)の根元を撮影。私の短い足が写っています。親ダヌキの山ズボンもやっぱりずり落ち気味(笑)。

この画面の右側には先ほどの山王帽子山があるのですが、すっかりガスに隠れてしまいました。画面中央、手前の稜線越しに見える鞍部が山王峠だと思います。

先ほど参拝した奥宮方面を振り向いたところ。

山王峠の手前を望遠で撮影してみました。恐らく光徳牧場だと思います。
ここで昼食。基本はジャムパンと山崎のジャンボ蒸しケーキ。どうも夜中のコンビニにはろくな菓子パンがありませんね。痛むものでもないので、前日から調達しておくほうが美味しいものにありつけるような気がします。

時折、山頂東側のガスが濃い塊となって山頂に吹き寄せ、滝のように西側に流れ落ちていきます。子供は濃い目のガスを生まれて初めて見るので新鮮に感じるらしく、数メートル先を流れていくガスを両手で掴もう・・・としているようです(笑)。
♪子供たちが 空に向かい 両手をひろげ♪
♪鳥や雲や 夢までも 掴もうとしている♪
♪その姿は 昨日までの 何も知らない私♪
♪あなたに この指が 届くと信じていた♪

山頂を去る前に、もう一度神像前に戻って一枚。『山頂のひとびと』。12時45分、下山開始です。

帰りはサクサク下りていきます。

八合目から七合目の岩だらけの急坂。子供の目からは楽に下りられるルートがわからないので、私が後から右、左と指示を出して下りていきます。


1時間半で六合目と五合目の間の熊笹の山道まで下りてきましたが、どうも天気が怪しいです。真っ暗になってきました。これは一雨きそうです。
この写真を撮影した直後、大粒の雨がパラパラと落ちてきました。既に樹林帯の中なので、雨粒は木の葉に当たってあまり落ちてきません。とりあえず、カメラをザックに仕舞い、ザックカバーだけかけて先を急ぎます。
五合目の避難小屋まで来ると、小屋の中や外で団体さんがわらわらとレインウェアを着用しています。ここにいた方から、最新のレーダー画像では既にこのあたりが雷雲に覆われている旨の情報を得ました。いまのところはまだ雷鳴も聞こえませんが、上空にあるのは積乱雲で間違いないようです。
四合目を過ぎて林道に入ったあたりで、初めてゴロゴロという雷鳴を聞きましたが、稲光は全く見えません。雲のかなり上のほうで放電しているようです。雨は大粒のものがぱらぱらと落ちてきたり、小降りになったり・・・を繰り返しています。三合目から再び熊笹の山道になりますが、子供と二人で一気に二荒山神社中宮嗣まで駆け下りました。下りは3時間かからずに下山完了。社務所の前まで来たときには・・・雨は完全に上がっていました(笑)。

駐車場まで戻ってきて、子供をすぐに着替えさせます。私はとりあえず、そこいらで体を冷却(笑)。中禅寺湖畔はもう、晴れてきていますね。
この後、16時過ぎに駐車場を出て帰路に就きました。とりあえずそそくさと下界まで・・・と思っていたら、いろは坂で渋滞です(笑)。一時間以上かけていろは坂の下まで下り、帰りは清滝インターから日光宇都宮道路に乗り、東北道・首都高経由で千葉まで帰ってきました。途中、佐野藤岡インターのあたりで渋滞25km、となっていましたが、基本的に渋滞のほとんどの区間、時速60km程度の速度で流せましたので、問題はなかったです。中央道の小仏トンネルの渋滞に慣れていると、他のところの渋滞があまり苦になりませんね(笑)。
お盆休みの真っ最中ですが、あまり芳しくないお天気が続いていますね。台風の襲来で全国的に大荒れだった先週末に引き続き、今週末も雨模様のところが多そうです。せっかくの夏山シーズンなのに、大変残念ですが・・・こればっかりはどうしようもない。秋口、涼しくなってからの好天気を期待するとして、今のところは鋭気を養っておくことにしましょう。
私も秋口辺りから山歩きついでに野鳥の写真や星の写真でも始めてみようかと思って、機材の整備を始めました。まあ、殆んどの機材は手持ちのもので済ますつもりですが、車での移動が前提だった三脚なんかは見直しが必要ですね。とりあえず、全体の重量を減らすために、軽量級の雲台なんかを新規に調達するつもりです。こういったものは、ザックにくくりつけて岩場なんかを移動しているうちにぶつけまくって傷だらけになります。中古で出物があれば一番いいんですが・・・まだ時間がありますから、中古カメラ屋さんなんかを久しぶりに回ってみることにしましょう。
さて。前々回・前回記事の蓼科山・霧ヶ峰・美ヶ原の旅から1週間後です。天気が比較的良さそうでしたので、8月3日、日曜日に山行の予定を入れてありました。問題は行き先です。私の行き先で毎度おなじみなのは奥多摩ですが、こう暑い日が続くと流石に奥多摩の標高1,000m台の山々を歩く気にはなりません。少なくとも2,000mは超えていないと・・・と考えるのですが、そうなると奥秩父方面まで足を延ばす必要があります。帰りの中央道の小仏トンネルでの渋滞も鬱陶しいし、どうしたものか思案しているうちに思いついたのが奥日光です。
以前、当ブログからリンクさせていただいている悠さんのブログ記事で、「北関東へは一般道を走って行ってもたいして時間がかからない」という話を目にしたことがありました。地図で確認してみると、なるほど日光市あたりまでは我が家から筑波山へ行く距離の倍くらいのようです。早朝だと筑波山へは2時間くらいでいけますから、4時間もあれば日光まで行ける計算ですね。日光男体山は標高2,486m、登山口の中禅寺湖畔・二荒山神社中宮嗣からは標高差が1,200mで結構急登のようですが、なかなか面白そうです。早速、こちらを行き先に決定。前日土曜日に準備を始めました。
当日、日曜日は女房は仕事。子供は塾の夏期講習もないので、私の実家のほうへ遊びに行かせる心算だったのですが・・・ヘタレ息子が付いて来るわけないと思いながら、一応確認。
「男体山、登ってみるか?」
「うん!」
え?付いて来るのかよ?
「標高差1,200mの岩場の道だぞ。この間の蓼科の山頂までの道みたいなのが延々続くぞ。きついぞ暑いぞ怖いぞ。」
「大丈夫!」
まあ、いいか。どっちみち朝6時の開門と同時に登り始める心算でしたから、子供連れでゆっくり登っても時間にはかなりの余裕があります。最悪、途中で引き返す羽目になっても、それはそれでまた秋にでも一人でリベンジしに来ればいいし。
というわけで、8月3日・日曜日の午前1時半過ぎ、自宅を出発しました。子供はその時間までぐっすり寝ていましたが、寝惚け眼のところを女房が着替えさせ、車に乗せるとすぐにまた毛布にくるまって爆睡です。こりゃ煩くなくていいわ(笑)。
千葉市内の自宅を出発、途中終夜営業のGSでガソリンを満タンにしてから国道16号を北上。以前、筑波山に行った時と同じルートで柏市内から手賀沼の西を通って新大利根橋を渡り、茨城県に入ります。茨城県にはいるとすぐに国道294号に出ますから、ここを左折して北上。そのまま一直線に北関東を目指します。
しかしこの道、凄いですね。夜中だと全然信号にひっかかりません。ノンストップでどんどん北上します。あっという間に守谷市、水海道市、下妻市を過ぎ、筑西市から国道408号に入って宇都宮方面へ。途中、左折して鬼怒川を渡り、宇都宮に着いたのは午前4時ごろです。何と、千葉から2時間半くらいで着いてしまいました。
宇都宮市内からは国道119号に入り、一路日光市へ。日光東照宮の前で道が突き当たりになりますから、左折していろは坂方面へ進みます。夜明けの第二いろは坂を駆け上がり、中禅寺湖畔の二荒山神社中宮嗣の駐車場に着いたのは午前5時ごろでした。

早朝の駐車場から中禅寺湖方面。対岸の山々には若干ガスがかかっていますが、今のところはいい天気です。子供を起こし、途中のコンビニで調達してあったサンドイッチで朝食を取ります。子供はあまり寝起きがよくないので、登山開始の6時まで時間をかけて目を覚まさせます(笑)。

5時50分、駐車場を出発。左側、手前から2台目が我が家のポンコツ。この駐車場、左側ががら空きですが、左側は一見バス専用のように見えるので警戒して停める方がいないみたいです。実は、駐車場の奥のほうがロープで仕切ってあり、そちらに「観光バス専用」の表示があるので、手前は大丈夫のようです。実際、支度をしている間に二荒山神社の神職の方が車の前を通ったのですが、何も言われませんでした。

駐車場の奥の参拝入口。ここから二荒山神社中宮嗣の境内に入り、入山手続きを行う社務所に向かいます。

こちらが社務所の登山受付。基本的に男体山全体が二荒山神社のご神体となっており、登山が参拝そのものであるということで、「登拝」と呼びます。登拝料は大人500円、子供300円、の筈だったんですが・・・何と、7月31日から8月7日までは「男体山登拝講社大祭」期間となっており、登拝料は大人1,000円となっていました。子供は300円のままです。ううむ、運がいいんだか悪いんだか。あ、そんなことを言ったらバチがあたりそうですが(笑)。さらに、この期間はご来光が拝めるように登山開始が夜中の12時となっており、6時近くまで開門を待つ必要はなかったようです。

登拝受付を済ませると貰えるのがこちら。左側が大人用の3点セットの『登拝之証』、『御札』、そしてオレンジ色の袋に入った『エマージェンシーシート』。右が子供用の2点セットで『登拝之証』、『御札』です。

さあ、登山開始・・・の前にトイレはどこだ(笑)。駐車場から来ると境内に横から入ってくる形になるのでトイレがありませんでしたが、正面の山門手前、左のほうにトイレがあるようです。一度外へ出てトイレを済ませます。
あらためて・・・6時10分、登山開始です。

最初は参道らしく、石段がしばらく続きます。

石段の終点には鳥居があり、それを過ぎると山道になります。早朝の熊笹の山道を登って行きます。結構大勢の人が登っていますが、こちらは子供のペースが遅いので基本的にどんどん道を譲ります。

40分ほどで一旦山道が終わり、林道に出ました。ここが登山道の三合目になります。ここから四合目までは林道を歩きます。

いい天気ですね。まだ涼しいので、林道を歩いていても気持ちがいいです。

30分ほど林道を歩くと、ふたたび登山道の入り口があります。ここが四合目になります。

四合目の登山道入り口の前はちょっと展望が開けているので、そこから中禅寺湖の写真を一枚。まだ晴れていますが、ちょっと水蒸気が多く、遠くのほうはガスっぽいですね。あまり見晴らしはよくないようです。

四合目から五合目までは再び熊笹の山道ですが、火山らしく大きな石がゴロゴロしています。

チビは大分ヘタレているようです。まあ、予想したとおりですが。頂上まで辿り着けるか、かなり不安ですね~。相変わらず、後から来た人にどんどん追い越されていきます。

50分ほどかけてようやく五合目に到着。

五合目には簡単な避難小屋があります。九州のほうから来た団体さんが休憩中。福岡弁がそこいらじゅうを飛び交っています。

五合目を過ぎるとさらに傾斜が急になり、岩場みたいになってきます。

25分ほどで六合目を通過。やはり、等間隔で合目の標柱が置かれているわけではなさそうですね。

六合目を過ぎると、さらに岩場っぽい道になってきました。子供からすると段差が大きいので結構必死でよじ登っているようです。

岩場はまだまだ続きます。

この辺りまで来ると、下山してくる人が増えてきました。どうやら、夜中の12時に登り始めてご来光を見てきた人たちのようです。聞いてみると、ご来光が綺麗に見えたとか。あらかじめ知っていれば、こっちも夜中から登ったんですが。

木々の間から中禅寺湖が見えますが・・・うわ、ガスがかかり始めました。山頂へ着く頃はどうなっているんでしょうか。

さらに1時間ほどかけて、七合目に到着。ここにも避難小屋があります。
ここへ着く直前、すれ違った方から「お子さん、顔色悪いよ」との指摘が。たしかにそう言われてよく見るとあまり顔色がよくありません。ずっと見続けていると気がつきにくいものなんですね。一瞬高山病を疑いましたが、子供に聞いても頭痛・吐き気などはなく、呼吸も正常です。どっちかというと、シャリバテっぽい?とりあえず七合目で大休止し、20分ほど休みます。カロリーメイトとポカリスエットを子供に食べさせて様子見。ウィダーインゼリーあたりを持ってきたほうがよかったかな?

ゆっくりと登山を再開。さらに岩が大きくなってきたので、少々難儀しております。おい子ダヌキよ、ジーンズがずり落ちて半ケツになっておるぞ(笑)。

まだまだ岩場が続きます。子供がまだシャリバテっぽいので、このあたりの道の脇の平坦なところを見つけて再び大休止。昼ご飯用のジャムパンを食べさせます。あまりお腹が空いていない、というのをとにかく食べろ、と食べさせましたが・・・これが効果覿面。みるみるうちに元気を取り戻しました。やっぱり、炭水化物じゃなくて糖分を摂取したほうが手っ取り早く吸収されていいみたいですね。

なんだか、岩場に巨大な鎖が下がっています。でも、この鎖を使わないで左に迂回しろというペンキの指示が。どうやら、昔はこの鎖を使って岩をよじ登っていたようですね。

鎖場の上が八合目。

ここには、瀧尾神社があります。それと、画面には写ってはいませんが、神社の左手に避難小屋があります。

まだまだ岩場が続きます。上空は・・・晴れてきました!さて、頂上はどんな按配だか。

先程よりはガスが取れてきて、見晴らしもよくなってきました。ただ、基本的に雲が多く、水蒸気が一杯ですね~。

ついに岩場が終わって緩やかな山道に変わりました。そろそろ九合目のはずです。山頂まであと一息。

相変わらずジーンズがずり下がっていて半ケツ状態で歩いています。恥ずかしいなあ。もっとも、私もよく山ズボンがずり下がり気味で歩いていたりしますから、父親に似ただけなのかもしれませんが(笑)。

九合目を通過。


木々の様子が変わってきました。低くなってきましたね。もうすぐ、樹林帯を抜けるようです。

樹林帯を抜けました。山頂直下のザレ場に到達。

右手のほうは戦場ヶ原ですね。このあたりは学生時代から何度も歩いています。右手の山の陰から見えているのは湯ノ湖でしょうか。以前は戦場ヶ原から眺めるだけだった男体山に、今、こうやって登ってきているんですね。何となく感慨深いです。

中禅寺湖も奥のほうまで見渡せるようになりました。何となくダム湖っぽいですが、2万年前の男体山の噴火で噴出した大量の溶岩流が、深いV字谷を堰き止めてできた堰止湖ですから、天然のダムのようなものです。ちなみにこの中禅寺湖、最大水深163mの湖底の水温が低いため、一度沈んだ水死体が浮かび上がることがない・・・と言う話を昔聞いたことがあるんですが、本当なんでしょうか?

ひたすら地面が赤いですね。子ダヌキは石とかが大好きなものですから、初めて見る赤い溶岩に興味津々です。

来た方向を振り返ります。男体山の西側はそこそこ晴れているんですが、東側はガスに覆われて下のほうが見えません。

もうすぐ山頂です。

山頂の鳥居が見えてきました。結構人が一杯いますね。登拝祭期間中ですから無理もありませんが。

山頂に到着。こちらは山頂に立つ二荒山大神の神像です。休憩時間をトータルで1時間ちょっと含んでいますが、登山口からここまで何と5時間45分もかかってしまいました(笑)。

山頂からの風景。


こちらは男体山の北にある太郎山です。太郎山の左にある小さなピークが山王帽子山ですが、このさらに左側には、ここからは見えませんが涸沼という乾燥が進んだ湿原があります。そのあたりも何度か歩いたことがあります。

二荒山神社の奥宮。まずは無事登頂できたことのお礼をし、合わせて下山の無事を祈願します。

奥宮の右手には真の山頂、最高標高地点があります。てっぺんの岩の上にはステンレス製の巨大な刀が屹立しています。

一番高い岩の上に立って刀を撮影。なんだか逆向きに刺さったエクスカリバーといった趣です。BGMは当然、ワーグナーの「ジークフリートの葬送行進曲」(笑)。

エクスカリバー(笑)の根元を撮影。私の短い足が写っています。親ダヌキの山ズボンもやっぱりずり落ち気味(笑)。

この画面の右側には先ほどの山王帽子山があるのですが、すっかりガスに隠れてしまいました。画面中央、手前の稜線越しに見える鞍部が山王峠だと思います。

先ほど参拝した奥宮方面を振り向いたところ。

山王峠の手前を望遠で撮影してみました。恐らく光徳牧場だと思います。
ここで昼食。基本はジャムパンと山崎のジャンボ蒸しケーキ。どうも夜中のコンビニにはろくな菓子パンがありませんね。痛むものでもないので、前日から調達しておくほうが美味しいものにありつけるような気がします。

時折、山頂東側のガスが濃い塊となって山頂に吹き寄せ、滝のように西側に流れ落ちていきます。子供は濃い目のガスを生まれて初めて見るので新鮮に感じるらしく、数メートル先を流れていくガスを両手で掴もう・・・としているようです(笑)。
♪子供たちが 空に向かい 両手をひろげ♪
♪鳥や雲や 夢までも 掴もうとしている♪
♪その姿は 昨日までの 何も知らない私♪
♪あなたに この指が 届くと信じていた♪

山頂を去る前に、もう一度神像前に戻って一枚。『山頂のひとびと』。12時45分、下山開始です。

帰りはサクサク下りていきます。

八合目から七合目の岩だらけの急坂。子供の目からは楽に下りられるルートがわからないので、私が後から右、左と指示を出して下りていきます。


1時間半で六合目と五合目の間の熊笹の山道まで下りてきましたが、どうも天気が怪しいです。真っ暗になってきました。これは一雨きそうです。
この写真を撮影した直後、大粒の雨がパラパラと落ちてきました。既に樹林帯の中なので、雨粒は木の葉に当たってあまり落ちてきません。とりあえず、カメラをザックに仕舞い、ザックカバーだけかけて先を急ぎます。
五合目の避難小屋まで来ると、小屋の中や外で団体さんがわらわらとレインウェアを着用しています。ここにいた方から、最新のレーダー画像では既にこのあたりが雷雲に覆われている旨の情報を得ました。いまのところはまだ雷鳴も聞こえませんが、上空にあるのは積乱雲で間違いないようです。
四合目を過ぎて林道に入ったあたりで、初めてゴロゴロという雷鳴を聞きましたが、稲光は全く見えません。雲のかなり上のほうで放電しているようです。雨は大粒のものがぱらぱらと落ちてきたり、小降りになったり・・・を繰り返しています。三合目から再び熊笹の山道になりますが、子供と二人で一気に二荒山神社中宮嗣まで駆け下りました。下りは3時間かからずに下山完了。社務所の前まで来たときには・・・雨は完全に上がっていました(笑)。

駐車場まで戻ってきて、子供をすぐに着替えさせます。私はとりあえず、そこいらで体を冷却(笑)。中禅寺湖畔はもう、晴れてきていますね。
この後、16時過ぎに駐車場を出て帰路に就きました。とりあえずそそくさと下界まで・・・と思っていたら、いろは坂で渋滞です(笑)。一時間以上かけていろは坂の下まで下り、帰りは清滝インターから日光宇都宮道路に乗り、東北道・首都高経由で千葉まで帰ってきました。途中、佐野藤岡インターのあたりで渋滞25km、となっていましたが、基本的に渋滞のほとんどの区間、時速60km程度の速度で流せましたので、問題はなかったです。中央道の小仏トンネルの渋滞に慣れていると、他のところの渋滞があまり苦になりませんね(笑)。
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