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踊り候え。

こんばんは。

前回の記事でも触れまた通り、7月18日から20日までの3連休は風邪を引いて寝込んでいたんですが、20日の午後、熱が引いた後でちょっと出かけた先がどこかと言うと・・・奈良倉山の記事の最後でちょっと触れた、東京ステーションギャラリーで7月20日まで開催されていた展覧会、「踊り候え」。画家の鴨居玲の没後30周年回顧展です。

この鴨居玲という人の作品、はっきり言ってかなり暗い絵です。ちょっと誰にでも薦められるタイプの画家ではありませんが、何故か昔から気になります。最初にこの画家の名前を聞いたのは30年くらい前、学生の頃でした。ただ、その当時は展覧会が開かれるわけでもなく、画集でしか作品を見たことがありませんでした。今回はかなり大掛かりに画家の初期の頃からの作品を集めた展覧会と言うことで、開催の話を聞いてから一度見に行かなければ・・・と思っていました。けれど週末は休日出勤、スケジュールが空けば山、という日々を繰り返していたので、最終日になるまで行く機会がありませんでした。

会場の東京ステーションギャラリーはその名の通り、東京駅にあります。昨年、往年の姿に復元されたばかりの東京駅ですが、こちらの正面から向かって左側、丸の内北口のコンコースに美術館への入口があります。我が家の最寄り駅からは総武線快速で1本、40分かからずに行くことができます。

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丸の内北口コンコースの天井を見上げてみました。復元前よりかなり高くなっています。空襲で消失した最上階を復元しているんですから当然と言えば当然ですが。天使が舞い降りてきていますね。

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こちらが会場の東京ステーションギャラリー。東京駅の向かって左端の部分、1階から3階までが美術館になっています。1階がエントランス、2階が展示室とミュージアムショップ、3階が展示室になっていて、1階から入場すると3階までエレベーターで昇って作品を見ながら階段を下りてくることになります。

20150720_1515_02.jpg

今回のポスターやチラシにも使われている最晩年の作品、「出を待つ(道化師)」が看板になっています。1984年の作品ですから、亡くなる1年前の作品ですね。

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ちょっとピンボケになってしまいましたが、こちらが入場券売り場。Suicaで入場券が買えます。どうせSuicaが使えるなら、大宮の鉄道博物館みたいにSuicaでタッチするだけで入場できるようにしてもらったほうが有難いですよね。切符売り場も入場ゲートも駅の設備をそのまま流用できるのでコスト的にも抑えられると思うんですが。ちなみにこの入場券売り場は会場を見終わって出てきたところで撮影しています。15時15分ごろ入場して17時30分頃ここへ出てきていますから、会場に2時間ちょっといたことになります。ここから先、会場内は撮影できません。

今回の展覧会、いろいろな意味で興味深いものでした。まず、前述したとおり、これまで殆ど画集でしか作品を見たことがなかったんですが、実物を見るとかなり印象が変わるものがあります。特に、100号を越えるような大きな作品は、実物の印象は全然違いますね。まあ、当たり前と言えば当たり前の話なのですが。それと、画家の金沢美術工芸専門学校(現・金沢美術工芸大学)の学生時代からの作品を年代順に並べてあったのですが、各時期の試行錯誤の様子がよくわかる展示(および解説)で、割と最晩年の作品ばかりを集めてあった画集しか見ていない身にとっては結構新鮮な驚きがありました。あ、こんなシュールレアリスムっぽい作品、結構たくさん描いていたんだ、とか。

それと、画集で見た最晩年の作品も、実物を一堂に集めて並べてあると、躁鬱の傾向があったと言う画家のその時々の精神状態がひしひしと伝わってきます。まさに百聞は一見にしかず、ですね。晩年の画家の作品にはゴヤばりの自画像が多いのですが、やはりゴヤと同じく精神の安定が得られずに悩んでいたようです。その他、アトリエに残されていた絶筆の作品とともにイーゼルや絵の具、パレットなどの遺品も並べてあり、どのように製作していたのかが垣間見えてこれも非常に興味深かったです。

この画家の名前を最初に聞いたのは前述のように学生時代ですが、当時私は美術のサークルに入っており、このサークルの中でしばしば出てきていたのがこの画家、鴨居玲の名前でした。その頃私が通っていた学校にはSという美術史の教授がおり、この人が画家と親交が深くて講義の中でよく取り上げていたそうです。このS教授、専門が美術史なのに何故か政治経済学部の教授で、私は別の学部なので講義を受ける機会がなかったんですが、教育学部に在籍していた先輩がS教授に掛け合って聴講(いわゆる自主聴講ですね)の許可をもらい、いつも講義を聞きに言っていたようです。まあ、正規に科目登録している学生よりモグリの自主聴講生のほうが熱心に話を聞く、ということでそちらのほうを有難がる教授も多かったですし、人気のある講義は何故か立ち見まで出ていました。中には学生ですらない人も混じっていましたが、今はああいう大らかなことはできないでしょうね。

このS教授、何でも「異端の美術史家」として有名だったそうです。まあ、日本の西洋美術史の専門家が殆ど取り上げないクールベなんかにスポットを当てたりとかしてたみたいですから、かなり毛色が変わっていたのは確かです。件の教育学部の先輩いわく「異端過ぎて文学部を追われて政治経済学部に移った」そうですが、本当かどうかはわかりません。S教授の授業、教育学部の先輩だけじゃなくて他の部員もちらほらと聞きにいっていたようです。ただ私は結局、聞く機会を逸してしまいました。気がついたときには永遠に聞く機会を失っていました。

1986年の初めごろだと思いますが、突如S教授の訃報が伝わってきました。で、どちらが先だったか思い出せませんが、相前後して画家の訃報も聞きました。盟友だった両氏の相次ぐ訃報に「そういうこともあるんだ」と思っていたんですが・・・やはり偶然の一致であるわけはありませんでした。ずいぶん後になって知ったのですが、お二方とも自殺だったようです。まず、画家が1985年の9月に神戸の自宅のガレージで、エンジンをかけたままの車の排ガス中毒で亡くなりました。ひょっとしたら自殺ではなく、事故だったのかもしれません。しかし、盟友を失ったS教授の心中は如何ばかりであったのか、今となっては誰にも推し量ることはできませんが、こちらも1985年の年末に自宅で亡くなりました。縊死だったそうです。

そのような何十年も前のことを思い出しながら最終日で混み合う展覧会場を後にし、最後にミュージアムショップで図録を買ってきました。

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表紙は鴨居玲の1985年の作品「勲章」(部分)です。亡くなる半年前の作品だそうです。本人の自画像になっていますが、胸に着けているのは勲章に模したビールの王冠です。

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そして裏表紙は画家本人のポートレイトになっています。

この展覧会、現在は9月6日までの会期で北海道立函館美術館で開催されています。その後、9月12日から10月25日までは石川県立美術館、10月31日から12月23日までは伊丹市立美術館と巡回する予定です。
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テーマ : 日記だよ
ジャンル : 趣味・実用

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No title

徒骨亭さん、こんにちわ。

徒骨亭さんは美術サークル所属だったんですね~。絵とか描かれたり彫刻とか造ったりされたんでしょうか?

鴨居玲様、初めて聞きました。金沢市出身の金沢美術工芸大学の人なんですね~。少しウキりました。ああ~、宮本三郎氏の弟子なんですね。宮本三郎氏は知っています。

鴨居玲氏の作品は・・・確かにだいぶ心が穏やかではない作品ですね。。。病気も苦しかったと思いますが、それ以上に心がっ。。。絵から彼の苦悩がうかがい知れます。

昔の芸術家は、心をすり減らしてすり減らして、寿命を縮めて作品を仕上げていた方がなんと多いことか。。。

Re: No title

青レンジャーさん、おはようございます♪

彫刻は全くやったことはありません。もっぱら、油彩画とアクリル画なんかをやっていました。あと、日ごろはデッサンとか。ちなみに美大とかじゃくて普通の学校ですから、あくまで趣味のレベルですが。

鴨居玲は徐々に人気が出てきているみたいですね。下世話な話で恐縮ですが、20年以上前は10号くらいの小品が軽乗用車1台分くらいの値段、サラリーマンでも無理すれば何とか・・・くらいで取引されていたのが、現在ではベンツ2台分くらいの値段になってしまっているようです。まあ、相変わらず作品の良し悪しじゃなくて大きさで価格が決められている日本の絵画取引はなんだかな~、という気もしますが。あと、日本画と違って洋画の場合は「○○の弟子」というのにあまり意味はありませんから、たまたま宮本三郎が教壇に立っている時期に鴨居玲が金沢美術工芸大に通っていた、くらいに考えたほうがいいじゃないかと思います。

彼の自画像は今回紹介した図録の表紙の作品のように、ほとんどが口を半開きにして呆けたような、途方にくれたような表情で描かれています。自画像とポートレイトを表裏に配置した今回の図録、そういう意味では画家の本質を的確に表現した秀逸な装丁だと思ったので紹介させていただいたんですが、必ずしも絵を描いていることが楽しかったとは思えないような作品が多いのも考えされられますね。ある意味「業」に近いものがあったのかもしれません。


プロフィール

徒骨亭主人

Author:徒骨亭主人
「むだぼねていしゅじん」です。「とこつ」ではありません。
主な関心事は電子工作、鉄道模型、空モノラジコン。その他、オーディオ、銀塩カメラ、クラシック音楽、映画などなど・・・何のことはない。どれも皆、昔ながらのオヤジ趣味ですな。最近は13年11月から始めた山歩きに熱中しております。
女房に頭の上がらない、小学生の息子を持つ父親です。

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